季節の見どころ 春

 

ホーホケキョッ♬~春告鳥の知られざる暮らしぶり~


「春の鳥」といえば多くの方がヒバリかウグイスを連想されるのではないでしょうか。 

今回は、この地域でも毎年その美しいさえずりを聞くことができるウグイスを取り上げてみたいと思います。

 

告鳥、花見鳥といった方言名からも、古くから日本の四季に欠かせない風物詩として愛されてきたことがわかりますが、その生態は意外と知られていません。美しいさえずりの裏には、驚くべき生態の秘密が隠されているのです。

“ホーホケキョッ”というさえずりは誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。

春先に聞くことの多いこのさえずりですが、最近では夏ごろまで聞くことができます。

本来、ウグイスは秋~冬の間だけ低地におり、繁殖期の春~夏はより標高の高い高原や低山へ渡って過ごす習性があります。

しかし最近では、緑化により街中でもみどりが増えてきたことや、都市公園等で野鳥の隠れ家としての“ヤブ“が残されるようになったこと、さらには耕作放棄林の増加などにより、ウグイスの繁殖に適した環境が増えてきました。(下草やササが生い茂っているような場所。)そのため、この地域に残って繁殖する個体も見られるようになったというわけです。

 

先にウグイスがさえずりはじめると、繁殖シーズンの到来です。

オスはここぞという場所を自分のテリトリーとして確保し、懸命にさえずります。そこに数羽のメスがやってきてそれぞれがオスと交尾をします。

やがてメスたちは各々に散らばり巣作りを始めます。

この巣作りから抱卵、そして子育てに至る全ての家事はメスの仕事。オスはというと、その半月~1ヶ月の間、ずっとさえずり続けるだけでメスたちの繁殖活動には全く我関せず・・テリトリーを守ることのみに専念します。

もうお分かりのとおり、ウグイスは一夫多妻制。それも、家事分業というよりは、家の仕事は全て母まかせ、といったところです。ヒナが巣立つ時期や夏の終わり頃になってもオスがまださえずっていることがあるのは、こうした習性からなのです。

 

さて、先のとおり、ウグイスの繁殖は夫婦での共同作業ではなくメス単独で行われるので、どうしても家を空けることが多くなります。トイレ休憩や餌運びの留守の間には幾多の受難が待ち受けています。

一つはヘビや猛禽類などの外敵です。卵や生まれたばかりのヒナは、親がいなくてはなすすべもなく丸呑みにされてしまいます。もう一つはホトトギスによる托卵です。

ホトトギスは自分で子育てをせず、ウグイス等の小鳥に育ててもらう習性があるのです。ホトトギスはウグイスの巣に卵を産み付け、元々あった卵を飲んでしまいます。そればかりか、生まれてくるヒナはウグイスの卵やヒナを巣から落とす行動をします。

 

こうして貸切状態になったウグイスの巣で、ホトトギスのヒナは餌をねだり続けます。

ウグイスのメスは育児放棄することもなく、せっせとホトトギスに餌を与え続けなくてはなりません。

ホトトギスにとって仮の親となるウグイスはなくてはならない存在ですが、ウグイスにとってホトトギスの出現は、自らの繁殖失敗つまり破滅への道といえるのです。

 

“ホーホケキョッ”というオスのさえずりが聞こえてきたら、その周りで健気に子育てをしているメスたちのことを思い出してあげて下さいね。

 


具椅子がアオダイショウ

ウグイスが好むヤブ環境


 

花香る*うららかな春の小径

季節を五感で知る日本人 

 

皆さんが春を感じるのはどんな出来事でしょう。南風に暖かさを感じたとき、小鳥のさえずりで目が覚めたとき、

それとも足元につくしんぼが顔を覗かせていたときでしょうか。日本では、季節の移ろいを五感で感じ取ることができます。普段、意識することは少ないかもしれませんが、四季の変化を感じるのには欠かせない演出の一つとして"香り"があります。ある春の朝、扉を開けると辺り一面にタクアンのような独特の香りが漂っています。

どこかでヒサカキの花が咲き始めたに違いありません。個性に富んだ花の香りは、時として行き交う人々の足を止め、時間すら忘れさせます。一方、植物自身にとっては、花粉を運んでくれる虫を誘うため、あるいは外敵を驚かせて自らの身を守るための大事な仕掛けです。今年の春はぜひ、花や草木の“香り”を楽しんでみませんか。

 

花の香りの多様性

花や草木の持つ香り成分は、空気に混じることで私たちの鼻に入り、臭細胞にくっつきます。(食べ物の場合も同じで、口の奥から鼻の中に入ります。)この香り成分には様々な種類があり、それらの組み合わせと濃度によって花の香りが決まります。また、日が経つにつれて香りが失われていくのは、香り成分が軽くて揮発しやすいためです。由木の春を代表する植物の中から、特に香りが印象的なものを取り上げてみました。

 

  • クロモジ:かつてはその爽やかな香りを利用して爪楊枝を作ったそうです。香りはパイナップルのよう。
  • ジンチョウゲ:室町時代に中国から渡来して以来、その甘い香りとともに親しまれてきました。
  • スギ:葉や木材に含まれる精油成分が爽やかな香りをもたらします。線香は本種の葉の粉末。
  • サクラ類:葉や花を傷付けるとクマリンが作られ、甘い香りがします。桜餅に使われるのは大島桜の葉。
  • シロツメクサ:クローバーの花もとても甘い香りがします。お茶は胃腸に効き、消毒作用もあります。
  • サンショウ:日本が誇る香辛料の一つ。花・実・葉・枝と全体から辛みのある香りを放ちます。
  • キュウリグサ:足元に咲く雑草ですが、驚くことに、葉を揉むとキュウリの香りがします。
  • コブシ:ほんのりと甘味のある薬臭が春の到来を感じさせます。花はまるでハンカチのようです。

あなただけの香りの散歩道

街路樹や並木、花壇から道端の草花まで、いたるところで自然の香りを楽しむことができます。四季を通じて様々な香りを楽しめる自分だけの“香りの散歩道”を発掘しましょう。いい香り、くさい香り、忘れられない香り・・・種類によっても嗅ぐ人によっても異なるこの無限大の面白さを味わって下さい。