季節の見どころ 2015

 

私を探さないで!冬を越す虫の叫び

冷たい北風に落ち葉が舞う雑木林。小鳥は相変わらず賑やかですが、虫たちの気配はすっかり無くなり、時折ヒラヒラと舞うフユシャク(蛾の仲間)を見かけるくらいです。しかし、よく目を凝らすとじっと動かずに春を待つ虫たちの姿に気が付くはずです。 

クロスジフユエダシャク 

 

変温動物である虫は、厳しい寒さのために死滅してしまうものもいますが、多くの種類で越冬が見られます。夏の間にエネルギーを蓄え、冬は体内で、温度が下がっても凍ることの無いグリセリンを作ることで、越冬が可能となるのです。グリセリンが血液中に含まれていると、どんなに厳しい寒さでも凍ることは無いと言います。

オオムラサキの幼虫とゴマダラチョウの幼虫

 

冬越しの態勢は、幼虫や蛹(さなぎ)、成虫など様々です。また、冬越しの場所としては、落ち葉の裏や樹木の樹皮の隙間、中には手すりの中の空洞や樹木名表示板の裏で眠りに付くものまでいます。

ツヤアオカメムシ

寒さや餌の不足という困難を乗り越えたとしても、彼らにはもっと大変な試練が待ち受けています。それは、冬も虫や小動物を捕食している小鳥の存在です。スズメやハトは群れで草の種などを食べているのを見たことがあると思いますが、モズやジョウビタキ、ツグミの仲間など単独で過ごしている小鳥は主に地中のミミズ類や越冬する虫を捕食します。彼らの鋭い眼をいかにしてかいくぐるかが、無事に春を迎えられるかどうかのカギとなるのです。

クワの枝そっくりに擬態したクワエダシャク、爪楊枝のように細長いオツネントンボ、アカマツの樹皮にまぎれたウバタマムシなど、多種多様な“目くらまし大作戦”をご紹介します。どこに隠れているかわかりますか?

クワエダシャク

ウバタマムシ

オツネントンボ


 

季節の見どころ 2014

 

雨ニモマケズ風ニモマケズ~冬越し雑草の生きる術~

雑草の多くは冬でも枯れない!

 

寒い冬、こたつや布団から抜け出せずにいる方も多いのではないでしょうか。動物でも、

温かい場所を見つけて冬ごもりする種類がいます。餌が取りづらくなり、寒さで体力も低下する厳冬期、

体力温存とばかりに動かないでいるのが一番というわけです。では、植物はどうでしょう。

植物は自分で温かいところへ移動することができませんから、耐え切れずに枯れてしまうか、

あるいは寒さを凌ぐための防寒対策をしなければなりません。足元に目を向けると、

意外にも青々と葉っぱを広げている雑草が多いことに気が付きます。雑草の多くは、

秋に芽生えてその冬を葉っぱだけで過ごし、翌年に成長・開花するからです。

このような生活サイクルを繰り返す雑草たちは、厳しい冬の気候を乗り越えるためにどのような防寒対策を

行っているのでしょう?  

 

どうしてこんな姿に?

 

タンポポやマツヨイグサの仲間などの雑草は、地面すれすれの高さで放射状に葉を広げます。この様子は、バラの花の形に例えて「ロゼット」と呼ばれています。

地下に栄養分を蓄えることで、葉を刈り取られたり草食動物に食べられたりしてもダメージをほとんど受けずに済みます。

周りの高い草木に比べて食べられづらいばかりか、仮にかじられたとしても、下の栄養分で速やかに葉を再生できるのです。

また、ロゼット葉は葉を支えて地上から持ち上げるための茎を必要としません。

したがって、茎を作るためのエネルギーを省力化し、葉を作ることに投資することができます。

これらのほか、冬の間をロゼット状の葉姿で過ごすことで以下の利点があります。

 

 ・熱を逃がしにくいこと

  →気温が低くても日射で暖まった地熱で葉温が上昇し、光合成が盛んになる効果がある。

 ・踏み付けや風雪に強いこと

  →人や動物による踏み付けや冬の積雪で茎が折れることなく植物体を維持できる。

 ・凍結を防止できること

  →夜間、気温が急激に下がった際に、葉が凍結して傷付くのを防いでいる。

 

冬越しする雑草を探してみよう

 

公園緑地でも、広場や草地、道端などあちらこちらで冬越しをする葉っぱを観察できます。

ロゼット葉はもちろんですが、ヨモギやヤハズエンドウなど、葉の付け方は変わらずそのままの種類も見つかります。

春の開花期に比べればはるかにミニチュアサイズなのですが、小さくても葉の形は変わらないのですぐにそれとわかるでしょう。

どんな姿で冬を越すかは、種類によって様々なのです。皆さんもこの冬、足元で冬越しする葉っぱの多様性に注目してみませんか?

 

 ◎ロゼット葉が見られる主な植物

 ・キクの仲間 タンポポ、ヒメジョオン、ブタナ、ウラジロチチコグサなど

 ・オオバコの仲間 オオバコ、ヘラオオバコなど

 ・アブラナの仲間 ミチタネツケバナ、ナズナなど

 ・アカバナの仲間 メマツヨイグサ、コマツヨイグサなど

 ・その他 スイバ、キランソウ、キュウリグサ、キンミズヒキなど

 

 ウラジロチコグサのゼット葉

キランソウのロゼット葉